コラム-column-
西郷隆盛も愛犬家。今も昔も、ペットは人生の素晴らしいパートナー
今でこそペットは家族の一員ですが、その昔、人間が動物と暮らすのは狩猟や防犯が目的でした。
しかし歴史を見渡せば、犬や猫を可愛がる目的で飼う人がいなかったわけではありません。
歴史上の人物で愛犬家といえば、日本人なら「西郷隆盛」を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。上野公園にある石像でも、西郷隆盛は犬を携えていますよね。
実はあの犬には諸説あり、犬種は薩摩犬とも洋犬とも、名前はツンとも寅とも言われてはっきりしていないのだとか。おっと、大河ドラマの「西郷どん」では「ツン」でしたね。ともかく西郷隆盛という人物は、像になっても犬を連れるほどの愛犬家であったことは確かなようです。
語り継がれる逸話でも西郷の愛犬家としてのエピソードは多く、西南戦争の時にも何匹かの犬を連れていたというのだから驚きです。新政府軍に追いやられ戦況が悪化する中、食糧不足に喘ぐ状況でも西郷は自分の食料を犬に分け与え、決して手放すことはありませんでした。いよいよ敗北を喫し、自刃に及ぶ際には愛犬の頭を撫でてから首輪を外してやったと言います。しかし、犬たちは彼の元を離れようとせず、周辺を歩き回って鳴き続けたのだとか。
当時は犬を散歩させることは珍しかったそうですが、西郷隆盛はよく犬を散歩させていたといいます。鰻屋に行けば自分は食べずに犬に食べさせ、宿に泊まれば桶いっぱいの肉や魚も食べさせていたそうですから、その溺愛具合はなかなかのもの。なんと自宅では10匹以上の犬を飼っており、そのため街中で犬が大勢歩いていると、だれもが飼い主の顔を見なくても西郷だとわかったそうです。
今、ペットを飼っている方の多くは、ペットを「見送る」立場でしょう。けれど時代が違えば、また今の時代でも年齢などの事情からペットに見送られる人もいるでしょう。愛犬家であった西郷隆盛にとって、死を選ぶことで「最後まで面倒を見る」という飼い主としての義務を果たせないことには、犬たちに申し訳ないという思いもあったのではないでしょうか。
幸い、現代の私たちは戦争による死からはとりあえず遠くにいると言えます。しかしながら、どんな事情で突然のお別れが来るか分かりません。最期のことを考えるのは悲しくて憂鬱ですが、どちらにとっても最良のお別れができるよう、飼い主として考えておきたいですね。